• 下枝宣史

新型コロナウイルス感染症(CoVID-19) まとめ対談①/4 <2020年上半期>

最終更新: 9月23日


(^ω^): こんにちはしもドク、この対談のキーワードはなんですか?


 キーワードは「新生活様式」「飛沫と接触」「統計」「感度」「特異度」「抗体」「集団免疫」「終生免疫」です。まずは、この前の冬を振り返ってみましょう。日本でインフルエンザが流行る秋冬から春にかけてのシーズンを中心に、一年間の患者さんの総数を見ると、例年では一千万人が罹っています。ところがこの前のシーズンでは、600万人程度に留まりました。

(^ω^): それは日本だけでなく、世界中でインフルエンザが少なかったそうですね。


 はい。中国では例年、流行のピークには1ヶ月で29万人が罹っていたのが、たったの2万人へと激減しました。新型コロナに対するロックダウンを実施してからのことです。イギリス、カナダ、韓国などでも減少していました。

(^ω^): それはやっぱり、ロックダウンや新しい生活様式が新型コロナだけでなく、インフルエンザにも効果的だったということですか? 手洗いとかマスク、ソーシャルディスタンスと三密回避を心がければ、いろんなウイルスから身を守れると思って良いんでしょうかね? それとも、新型コロナウイルスがすごく強くて、インフルエンザウイルスを追い払ったと言うか、打ち負かしてしまったとか?


 ウイルス同士がタイマンで戦って追っ払うというのは考えにくいですね。どちらかというと椅子取りゲームみたいな感じかな、人間の身体を取り合うイメージです。日本でのこの前の流行は2019年9月下旬から始まって、2020年1月まではほぼ例年通りの患者数でした。新型コロナが入ってきた1月以降が、びっくりするほど少なくなったのです。だからきっと、新型コロナ対策となんらかの関連があるのでしょうね。


(^ω^): 逆に、新型コロナとは関係なく何か別の、偶然の理由とは考えられませんか? この前のシーズンは記録的な暖冬で、統計開始以来最も高い気温だったそうですし、あるいは、去年のインフルエンザワクチンがたまたま良く効いたとか。


 実は、インフルエンザに限らず他の感染症についても、今年の1月からは少ないんです。ウイルスも、細菌も軒並みです。日本では例年、春から夏にかけて、手足口病・ヘルパンギーナ・溶連菌感染症などが増えるのですが、今年は受診される方はそうとうの重症例だけで、とても少ないです。中国でも、おたふくかぜ・はしか・それに性行為感染症が大幅に減少した、と聞いています。となると、暖冬だったとか、インフルエンザワクチンの効果だけでは、ちょっと説明がつかないですね。


(^ω^): でしたらやはり、新生活様式が感染症全体を減らしたのかな?


 いかにもあり得る話ですが、正直なところまだわかりません。新生活様式は「接触」と「飛沫」の両方を減らせるようにできていますね。接触による感染を手洗いによって防ぐのは、19世紀にゼンメルヴァイスさんという産婦人科医が始めたことで、お産の後に高熱が出る産褥熱を防げるようになりました。

 それ以来、手洗いによって、細菌の接触による感染を予防できることは科学的に研究されて明らかです。しかし、新型コロナやインフルエンザのようなウイルスでも接触による感染が主なのかどうかはまだ科学的な証明はなくて、ただの定説に過ぎないという指摘があります。

(・ω・):  じゃあウイルスに手洗いは無駄なんですか?


 ウイルスと手洗いとの関係はまだ厳密な研究がされていませんが、洗わないよりはマシなようだというくらいの結果が一応、報告されています。ちなみに、石鹸や台所洗剤、シャンプーなどに含まれる界面活性剤は、ウイルスを強力に失活させることがわかっています。


(^ω^): 少なくとも、ばい菌の接触による感染は、みなさんがよく手洗いをするようになったことで減りそうですね。おなか壊したりとか、食中毒、扁桃腺が晴れたとかモノモライとか・・・。


 そのとおりですね。手洗いや清拭消毒が普及してきて、新型コロナの感染経路は今では、接触よりも飛沫の方が主らしいという考えが主流になってきています。だからといって、マスクと三密回避さえしとけば良くて手洗いはもう無駄、ではないです。新型コロナさえ防げれば他の病気には罹って良い、ってわけでもないですし。


(`・ω・'): できることはすべてした方が良いですよねー。だけどもしかしたら、みなさんが感染予防のために外出を控えるあまり病院に行きにくくなってしまったせいで、患者さんが少なくなったのは見かけだけとか?


 受診控えはしない方が良いですね。熱中症のように、新型コロナよりもっと怖い病気はたくさんありますから、具合が悪ければ重症にならないうちに、早めに診てもらう方が良いと私は思います。


(^ω^): ではその上で、今年の秋冬はどうなるのでしょう?


 前のシーズンにインフルエンザにかからなかった分、みなさんの免疫力が甘やかされて低下しており、今年の秋冬にはいろんな感染症が大流行するのではないか、と心配している専門家もいます。一方で、新生活様式のますますの普及によって、新型コロナも減っていくだろうし感染症全体がさらに少なくなるだろう、という楽観論までありまして、どうなるかは、私にはわかりません。


(・ω・): くどくど書いてそれかい〜!


 予測するのは大変に難しいです。新型コロナの動向に生活がかかっている方、心を病んでしまっている方、そして亡くなられた方やご遺族もたくさんおられる中で、わからないと正直に書くのは、医者の立場からしてもとても辛いことです。しかしなにしろ、ウイルス感染症に対して全世界がこんなに本腰を入れたことなんて、人類史上初めてのことですから。常に状況の変化を見極め、いち早く対策を打つ、これを繰り返し続けていくのが王道です。確かに、生活が振り回されることにはなりますが、都合の良い近道はないでしょう。


(-ω-): いつもとちがう、未曾有の事態ですものね。先の予測が難しい理由にはどんなことがあるんですか?


 いくつもあります。まずは死亡率をめぐる問題です。新型コロナの毒性の強さ弱さを死亡率で測ろうとするわけですが、これが不確定です。ある国では0.7%、別の国では10%以上と、えらく幅広い。

(・ω・):  同じ病気なのに、どうしてそんなにばらつくんでしょう? それぞれの国の暮らし方とか、医療レベルの差とか、人種による違いとかですか?


 それらもあるかも知れませんね。ただ、それ以上に大きな問題なんじゃないかと言われているのが「統計」の取り方のばらつきです。


(^ω^): 統計の取り方というと、何人が罹って、そのうち何人が亡くなったかをどうやって数えてるのか、ということですよね。


その通りです。次の記事では、死亡率をめぐる統計の問題をまとめていきたいと思います。


(^ω^)/~: ではまた次回〜。

 この記事の内容は、9月1日現在での以下からの情報によっており、すべてインターネットで公開されています。厚生労働省、日本疫学会、大阪大学免疫学フロンティア研究センター、藤田医科大学、北里研究所、内閣府食品安全委員会、世界保健機構、米国疾病対策予防センター、米国医師会、オックスフォード大学、ジョンス・ホプキンス大学、ロイター/共同通信社。

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