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  • 執筆者の写真下枝宣史

マスクについて(1)

 新型コロナやインフルエンザなど、冬のウイルス感染症関連のニュースで持ちきりです。全国的にマスクが品薄となっていることをご存知の方も多いでしょう。テレビやインターネットでは、専門家・非専門家の方々がさまざまな意見を述べておられますが、ここでは私の知識と経験から思うマスクについての四方山話を綴ります。

・病気の予防のためにマスクを着ける常識は正しい?

 子供のころは「風邪をひいたらマスクをしなさい」と教わりませんでしたか? それがいつの間にか、病気に罹る前に、予防のためにマスクをすることが常識のようになって久しいです。なぜ、いつから変わったのでしょう。

 例えば食品工場で作業している方々は、みなさんマスクをされています。食品からウイルスが自分にうつるのを予防しているのでしようか? もちろんそうではありませんよね。私たちはいつ何どき、病気に罹るか分からないですから、まだ症状の出ないうちに病原体を広めてしまうこともあり得ます。販売する食品に病原体を付着させないために、作業中はマスクをします。マスクは本来、自分から他者に病原体をうつさないためにするものなのです。では、マスクが自分のための予防になる、と思われるようになったのはなぜなのでしょう?

・医師や看護師の姿が、マスクへの「過信」を広めた?

 ここから先は私の勝手な憶測なので、お茶飲み話程度のつもりでお読みください。かつて新型インフルエンザ・MARSコロナ・SARSコロナが流行するたびに、感染症を扱う医療関係者がマスクをして活動する姿がテレビなどで盛んに報じられました。当時も今でも、感染症患者さんが受診されるような病院を見れば、医療従事者は多くの場合マスクを常に着けて働いています。様々な機会にそのような姿をご覧になってきたみなさんはこうお感じになったのではないでしょうか。「ああ、医者や看護師たちはああやって、自分の身を守っているんだな」と。

・ウイルスをマスクでは防げない

 ウイルスと異なり細菌は図体がはるかに大きいので、専用の高機能マスクでならある程度予防できることもあります。しかし細菌の100分の1しかない小さなウイルスを、普通の医療マスクで防ぐことは無理なのです。ですので、ウイルス保有者との濃厚接触を避けられない医療従事者は、常に感染のリスクに晒されています。そして、症状の出ないうちに他の患者さんに病気をうつしてしまうリスクも。

 つまり、食品工場のみなさんと目的は同じなのです。医療従事者は我が身を守るためではなく、自分自身が感染症の媒介者とならないために、たとえ咳もくしゃみもなくてもマスクをするように心がけているのです。医療従事者ではないみなさんには、咳やくしゃみが出るときにマスクを正しく着けていただくようお願いしたいと思います


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