• 下枝宣史

新型コロナウイルス感染症(CoVID-19) まとめ対談②/4 <2020年上半期>

最終更新: 3日前

(^ω^): では、しもドク。お話しの続きをどうぞ。

 CoVID-19の先行きを予測するのが難しい理由のひとつに、死亡率をめぐる問題がある、というお話しです。新型コロナの毒性の強さ弱さを死亡率で測ろうとするわけですが、これが不確定です。ある国では0.7%、別の国では10%以上と、えらく幅広い。


(・ω・):  同じ病気なのに、どうしてそんなにばらつくんでしょう? それぞれの国の暮らし方とか、医療レベルの差とか、人種による違いとかですか?


 それらもあるかも知れませんね。ただ、それ以上に大きな問題なんじゃないかと言われているのが「統計」の取り方のばらつきです。


(^ω^): 統計の取り方というと、何人が罹って、そのうち何人が亡くなったかをどうやって数えてるのか、ということですよね。


 その通りです。例えばアメリカで、新型コロナよりもインフルエンザの方が10倍も死亡率が高い、と報告された統計があります。米国疾病対策予防センターのもので、新型コロナの死亡者数は実際に数えていますが、インフルエンザの亡者数は例年の推計値で、それらを単純に比較したらそうなりました。


(^ω^;): ああ、確かに、亡くなった方の数を単純に比べればインフルエンザの方が桁違いに多いから、新型コロナはただの風邪みたいなもんだ、とも言われてましたもんね、始めのころは。


 ところが逆に新型コロナの方が20倍も、インフルエンザより死亡率が高いという報告、これは米国医師会です。新型コロナでの死亡者数がピークだった一週間と、例年のインフルエンザの流行がピークになっていた一週間での死亡者数とを、どちらも実際に数えて比較しました。その1週間についてだけ見れば、例年のインフルエンザの20倍の人数が一気に新型コロナで亡くなったので、ニューヨークなどで医療崩壊が起きたと分析しています。


(^ω^): 今の例は、新型コロナとインフルエンザとでそれぞれ亡くなった方の人数の比較でしたが、注目する期間とか、実際にどうやって数えるか、統計にもいろいろあるんですね。死亡率は本来、罹った方全員の中での、亡くなった方の割合ですから、分数にして、パーセント で表すんですね?


 そうです。率というのは割り算ですね。その結果がばらつくのは、主な原因が3つあります。分数の形で言うとまずは分母すなわち罹った方の総数が、少なすぎてはいないか? 例えば、検査をしたくてもあまりできない国があるとしましょう。亡くなった人数を数えることはできても、罹った人数はかなり小さい数にしかなりません。


(^ω^): すると分母が小さいので、割合は大きくなるから、、、死亡率は高く出ますね。


 はい。次に分子すなわち死亡者数が、少なすぎてはいないか? 例えば、あるタイミングでそれまでに亡くなった人数を集計すると、その時点ではまだ生存している患者さんがその後どうなったとしても数には入りません。つまりその後の追跡観察が不完全だと、分子が小さすぎる可能性があります。

(^ω^): すると、死亡率は低く出る傾向になるんですね。


 そうです。そしてみっつめは、罹った人を正しく数え上げるための検査そのものが不完全なこと。不正確な検査結果を鵜呑みにして分母にすれば、死亡率はいかようにもばらついてしまいます。


(@_@): えっ、検査が不正確? そんなことがあるんですか? それは、大問題じゃないですかー!!!! PCR検査なら100%正しい結果が出る、とテレビでは報道されていたようですが、PCRだけじゃなくて、良いのや悪いのやいろんな検査方法があるんですか?


 検査方法はいまのところ3種類です。どの検査方法も、100%信頼できると言うわけにはいかない事情があります。まずは有名なPCR検査、これは今現在ウイルスが体の中にいるかどうかを調べるものです。鼻の穴から長い綿棒を喉に届くまで差し込んで、鼻咽頭ぬぐい液を採ります。最近では、唾液・つばでもOKになりましたね。それらの中にウイルスがある一定量以上含まれているなら、PCR法によるウイルス遺伝子の検出精度そのものは、100% 信頼できます。


(・ω・): ではなぜ結果が不完全になってしまうんですか?


 理由は、鼻咽頭ぬぐい液や唾液の取り方にあります。ウイルスは人体のさまざまな臓器・組織に感染するので、鼻咽頭ぬぐい液に含まれたり含まれなかったり、唾液中にいたりいなかったり、これは個人差もあるし、感染してからの日数によっても変化するんです。とくに新型コロナは肺の奥の方に潜り込むのが好きなようで、インフルエンザと比べると、鼻咽頭や唾液からはどうも捉えにくい。


(^ω^): 検査を受けるタイミングによって、実は罹っているのに陰性になることがあるんですね。「偽陰性」と言われるのがそれですね。自分は検査で大丈夫だったから、と安心してどんどんばらまいてしまったら怖いですよね。


 今言われました偽陰性とは、感染しているのに検査で陽性にならないことですね。偽陰性率が低いほど「感度」が高いということです。オックスフォード大学とジョンス・ホプキンス大学がこれを研究しています。新型コロナに感染して1日目ではPCR検査での偽陰性100%、つまり感度0%で、見分けられないのです。まだウイルス量が少なくすぎるからです。感染後5日目になると偽陰性38%、感度62%に上がってきます。8日目での感度が最高で、80%です。


(^ω^): つまりPCR検査はどんなに頑張っても、感染している人10人中、少なくとも2人以上を見つけ損なってしまうんですか・・・。最近、抗体検査というものもあると聞いています。そっちの方が感度が高いですか?


 ん〜、まあ感度は高いです。「抗体」とは、病原体にくっつく機能を持つタンパク質分子で、血液中から検出します。 藤田医科大学によると、新型コロナに感染して1~2週間過ぎると、血液中に抗体が現れてくるそうです。抗体が見つかるかどうかで、過去2週間の時点で感染していたかどうかが分かります。ただし、今現在、身体にウイルスがまだいるかいないかは分からないです。それに、感染してから何ヶ月も過ぎていると抗体を捉えられなくなっている場合があるなどまだ解明されていないことがたくさんあります。

(^ω^): 例えば私が抗体検査を受けて陰性だったとしたら、2週間ほど前に罹ったことがないとは言えるけど、これから罹る可能性はあるし、実は昨日とか、さっき罹ったばかりかも知れないんですね。


 はい。また、抗体検査が陽性だった場合も、これで免疫がついた、もう二度と罹らなくなったー! と安心するわけにもいかなさそうなんです。このことは、次の機会にまた詳しくお話ししますが、結果がどうあれ油断はできないということです。


(^ω^): PCR検査とはずいぶん意味合いが違うようですから、感度の数字だけ比べても意味がなさそうですね。やっぱり、検査さえ受ければ安心ってわけじゃないんですね。みっつめの検査方法はどうですか?


 抗原検査と言います。PCR検査と同等の精度で、より短時間で結果が出ます。簡易キットも開発済みで、鼻咽頭ぬぐい液を使ってその場で30分ほどで判定できます。ただし、発症から2日ないし9日目までの、ウイルスの量が多い時期に限ります。PCR検査より感度が高いわけではなくで、やはり10人中2人以上の見落としがあり得ます。


(;^ω^): どの検査にも、限界があるんですね。


 所詮は、人間のやることですからね。検査にはもう一つ、別の問題点があります。それは「偽陽性」です。


(^ω^): 偽陽性??? 偽陰性の反対ですよね。ということは・・・ホントは罹っていないのに、うっかり間違って罹ってるって結果が出ちゃうんですか? それって酷くないですか〜? 次回はぜひぜひ、そのお話しを。


 はい。その前に、のんびりティータイムを。


(^ω^): おやつの前にも手洗いですね!

 この記事の内容は、9月1日現在での以下からの情報によっており、すべてインターネットで公開されています。厚生労働省、日本疫学会、大阪大学免疫学フロンティア研究センター、藤田医科大学、北里研究所、内閣府食品安全委員会、世界保健機構、米国疾病対策予防センター、米国医師会、オックスフォード大学、ジョンス・ホプキンス大学、ロイター/共同通信社。

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