• 下枝宣史

新型コロナウイルス感染症(CoVID-19) まとめ対談③/4 <2020年上半期>



(^ω^): 偽陽性は、偽陰性の反対ですから・・・ホントは罹っていないのに、うっかり間違って罹ってるって結果が出ちゃうんですか。


 はい。先ほどお話しした偽陰性は、感度と同じことでした。偽陽性は「特異度」と同じです。あまり聞き慣れない言葉ですが。例えば特異度が90%の検査方法があるとすると、実際には感染していない100人のうち、正しく陰性と判定できるのは90人です。10人は、誤って陽性の結果が出てしまうんです。この人たちと、本当に感染している人たちとの区別はつけられません。


(^ω^): えー、区別をつけるために検査するのに、区別がつかないんですか〜!? 意味なし芳一〜!!


 芳一って誰ですか・・・? 新型コロナの場合、偽陽性の人は、本当に陽性である人と一緒に隔離されることになるので、そこで本当に感染してしまいます。特異度があまりに低い検査はむしろ害にもなるんです。もちろん、ここまでご紹介したみっつの検査はどれも、特異度は高いんですよ。99.5%とか。でもその0.5%が問題なんです。1億人全員を検査したらどうなるでしょう?


(@ω@): え〜と・・・ご、50万人が・・・偽陽性・・・ぶくぶく


 目回して泡ふいてますね。気持ちはよ〜くわかります。できのよくない検査キットでは、特異度96.6%なんてのもあって、これだと500万人が偽陽性ですね。そういうのは論外として、きちんとした検査でも偽陽性は出ます。そこで、偽陽性を一人でも減らす唯一の方法は、検査を受ける人数をできるだけ減らすことなんです。もし誰ひとり検査を受けなければ、偽陽性は一人も出ませんからね。当たり前ですが。


(・ω・): でもそうはいかないでしょ? そもそも本当に感染している人を、できるだけ多く見つけ出さなきゃならないし、症状が出ている人をちゃんと治療するためには検査してまず診断しなきゃだし。


 まさにあっちを立てればこっちが立たずの、これが現実です。そこでまあ、やみくもに誰でも彼でも検査するのは避けて、いかにも感染していそうな人だけ選んで検査する方針を日本政府は採用したわけです。


(^ω^): そうだったんですか! なんであまり検査を受けられないんだろうと不思議に思っていたんですが、偽陽性を増やさないという目的があったんですね!


 これは新型コロナの検査に限ったことではなくて、例えば健康診断を考えてみましょう。肺ガン検診は、40歳以上の人に限って行いますね。


(^ω^): そうか、赤ちゃんや小学生に肺ガンの検査なんかしませんよね。しかもレントゲンは放射線を浴びるから子どもには害になることの方がむしろ多いかもしれないし。検査って、手当たり次第に全員しとけば良いってものじゃないんですね。


 新型コロナの症状は、始めのうちは普通の風邪と変わりないです。その時点で全員を検査しまくったら偽陽性の人がたくさん出てくるので、隔離して封じ込める意味がどんどん損なわれてしまいます。


(^ω^): 偽陽性の人が隔離場所に入って感染して、本当の陽性にさせられてしまうんじゃ、本末転倒ですね! そんなことがあっちゃいけませんよね!!


 はい。このように考えてくると、できるだけたくさん検査することが正しい対策だとは、ちょっと思えなくなってくるんですよね。新たに現れた病気に対しては、少しでも早く実態を解明したいですから始めのうちこそ検査をたくさんできるようにしていくんですけど、徐々に実態がわかってきて、検査の限界も見えてくると、やみくもに検査数を増やすのも良くない面があると分かってきます。


(^ω^): 日本政府が採った方針は当時、諸外国から不評でしたけど、理にかなっている面がちゃんとあったんですね。検査数をやみくもに増やさないことと、死亡率の話とは関係してきますか?


 まさに核心を突く質問ですね!! 検査数が少なければ偽陽性や無症状の感染者数が少ないから分母が小さくなり、死亡率は高く出ます。


(・ω・): 日本は検査数を抑えてきたので分母が小さく、高齢化率が世界でトップなので、死亡率は高く出そうですけど。


 ところが、です。日本の死亡率はなぜか逆に低い方なんです。フランスとイギリスが11%、中国5.5%、ドイツ4%、アメリカとブラジルが3%で世界全体が平均3.4%のところ、日本は1.9%と低い(9月1日現在)。その理由は未解明です。他に低い国はロシアやインド、フィリピン、パキスタンなどですから、人種や生活習慣、経済力などだけでは説明がつかない。なにか大きな秘密が、まだ誰も気づいていないところに隠れている感じがしますね。


(^ω^): 新型コロナは、日本ではまず、ダイヤモンドプリンセスで知られるようになりましたね。


クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号は、まるごと隔離されて人の移動がなく、乗員乗客が一応は三密を避けた生活様式で条件が揃っている中で感染がどう広がったかが分かり、全員が最終的にどうなったかまでの完全なデータを得ることのできた稀な事例でした。死亡率は1.8%と出ました。

(-ω-): ただし、乗客にはご高齢者がとても多かったのでそれだけ、亡くなる方も多かったんでしょう?


 はい。そこで、日本の一般人口での年齢分布に合わせて補正計算すると、死亡率はおよそ0.5%。200人に一人が亡くなる割合でした。これは、大人のインフルエンザの死亡率の5倍に当たります。


(-ω-): 8月には毎日千人くらいが新たに感染していますが、亡くなった方も多いのでしょうか?


 第一波と言われる4月1日から5月いっぱいの2ヶ月間では死亡率は (新規陽性者数14,758名、死亡者数745名) 5%もありました。感染再拡大と言われている7月から8月の2ヶ月間の死亡率は (8月31日までの新規陽性者数47,695名、死亡者数272名) 0.6%と低くなっていて、ダイヤモンドプリンセス号でのデータによる補正死亡率とほぼ同じです。このごろの新規感染者は20歳台の若者が主で、ご高齢者や体の弱い方は新生活様式と外出自粛によって、うまく感染を避けられているということだと思います。


(^ω^): 私も、みなさんも、予防を頑張ってますもん ! 亡くなりそうな方10人中、9人が亡くならずに済むようになってきたんですから、ちゃんと効果が出てますね !!


 はい、そう思います。まあこのように死亡率ひとつとっても話はけっこう複雑で、注意深く理解しないと誤解も生まれます。政府やマスコミ、一般の方々のみならず医療従事者も含めて、こういった問題を誤って理解したまま結果の数字だけに飛びついて判断してしまうと、対応を誤りかねませんね。


(^ω^): 医療関係のお仕事や、新型コロナの研究をされている方々にも、お体に気を付けながら頑張っていただきたいです。


 検査については新たに、サティックという方式の迅速検査キットが開発中です。インフルエンザと同じように専門的な機械設備が要らず、唾液を使ってその場で30分ほどで、感染しているかいないかの結果が得られ、精度はPCR検査に近いそうです。これが近く実用化され、より正確な診断や統計を得られれば、もっと有効な対策に繋がっていくこともあるでしょう。


(^ω^): さらに希望が持てる話もあるんですね。ここまでは、新型コロナの実態を解明していくための検査が意外と難しい、という話でした。次は治療や予防のお話を聞いていきましょう。ではここで、のんびりティータイム・・・♪ 手を洗いましょう。せっけんには、消毒用アルコールにも劣らないほどのウイルス不活化作用があります。界面活性剤がその主役で、市販の石鹸やハンドソープ、洗剤などに普通に含まれています (▶︎リンク「北里研究所プレスリリース」)。感染経路になりやすい指先を、とくに丹念に洗いましょう。


 この記事の内容は、9月1日現在での以下からの情報によっており、すべてインターネットで公開されています。厚生労働省、日本疫学会、大阪大学免疫学フロンティア研究センター、藤田医科大学、北里研究所、内閣府食品安全委員会、世界保健機構、米国疾病対策予防センター、米国医師会、オックスフォード大学、ジョンス・ホプキンス大学、ロイター/共同通信社。


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